お金が集まる場所とクリエイティビティ
今読んでいる本「マズロー心理学入門」をふまえて最近の社会に思うことを書く。
・人間の欲求のピラミッド構造(生理的欲求が下位、最上位が自己実現の欲求)
・仕事における自己実現とそれが満たされる社会(ユーサイキア)
私は学校を卒業したあと広告代理店に勤務予定である。
広告代理店に従事する、特にクリエイティブ部署の人々の多くは最上位の自己実現欲求を満たしながら、衣食住を犠牲にして長時間働いている。おそらく私もそうなるだろう。
仕事で満たすことができる自己実現欲求を詳しく分析すると
・商品を売る=社会のためになる
・クリエイティブな表現=オリジナリティ=自我の確認、承認=承認欲求
マズローが言っていることに大方当てはまるので、広告代理店従事者は自己実現者が多いと言えそうだ。
広告代理店の儲けを分解すると、バブリーであった頃の収入の多くはテレビcm(や新聞やOOH)からきていた。
視聴率の高いテレビにお金が集まる性質上、媒体を買う力のある代理店にもお金が集まっていたのだ。
(もちろんお金が集まる大本であるテレビ、放送業界も、コンテンツ制作においてクリエイティブ要素が多く合った。多くの名作ドラマや番組が生まれた)
そこには芸術が介在することができるスキマ(お金の使いみちやメディア)がたくさんあった。
広告代理店に入社した人は、デジタル以前なら多くの人が40年間勤め上げていたそうだ。それがデジタル以後、最近ではぱらぱらと転職者がいるとのこと。
もちろん不景気といえども、今でも終身雇用の風土はしっかりある。
ではなぜ、せっかく自己実現の場がある職場を変えてしまうのか?
:以下わたしが考える理由
転職者の多くはfacebookやgoogle、あとはticktocの会社などに流れるそうだ。
いずれも自社のメディアと多くのユーザーを持ったit企業で、業界ではトップシェア(=お金が集まる場所)である。
つまり、テレビというメディアがウェブに置き換わっただけで、これらの転職先は代理店業と同じように「商品を売る=社会のためになる」部分での自己実現を満たすような仕事を行うことができる可能性があるということだ。
問題は、
・クリエイティビティが介在するスキマが少ないこと
・多くが海外の企業であること
である。
PCやスマホの画面は大きくない故に、芸術的な美しさに重きを置く必要がないし、
たくさんの時間をかけて作り上げるような今までのクリエイティビティは必要ない。
今まで多くのクリエイターを排出してきた代理店業は、
「業種の性質上、代理店一社に独占的にお金が集まったこと」と「クリエイティビティが機能するメディア(テレビやOOHなど)を使用できたこと」があったから、クリエイティブな文化が花開くことができたのだ。
平安時代に、貴族の間で花開いた詩や芸術などの平安文化と同じようなことだ。